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2010-04-07 16:09 | カテゴリ:小説(オリジナル)
ジャンル:小説・文学 テーマ:自作連載小説
まだ幼い頃の記憶。

少女は、魔法が使えるという素晴らしい能力を持つ人間だった。

だが、肉親以外、魔法を使える事を信じてくなかった。

町内の人達は、少女の魔法を使える能力を信じず、『狂った少女』として、いじめや、虐待をした。

そんな日々が続いたせいか、少女は、本当に自分が狂った少女なのだと思い詰めてしまう。

魔法が存在するのかも分からなくなって、魔法が信じられなくなってしまった。

ある日、少女は決意をして、自分の使い魔に、こう言った。

「…私の記憶を消してくれない?」

使い魔は、少女を、寂しそうな目で見つめ、口を開いた。

「記憶を消すという事は、魔法を使う方法や、俺との思い出を無かった事にするという事だが…本当にいいのか?」

使い魔は、少女が好きで、これからも、使い魔として少女を守っていこうと思っていた。

なのに少女は、今まで、使い魔と少女で過ごした時間を無かった事にして欲しいと言う。

「…普通の人間に戻りたい…!!」

少女は、泣き崩れ、使い魔にすがる様に抱きついた。

何か決心した様に、使い魔は、背中に回してある少女の手をほどいてひざまずいた。

「貴方が望むのなら俺は何だってする。…数秒、目を閉じてくれないか?」

少女は、言われた通り、数秒、目を閉じた。

パンッ。

何かが弾ける様な音がした後、少女は、きょとんとした顔をした。

そして、今さっきまで、話していた使い魔を見て、「貴方は誰?」と首をかしげた。

使い魔は、悲しそうに眉を寄せ、少女を抱きしめた。

「あ…あの」

少女の肩に、使い魔の流した涙がぽつぽつと垂れる。

使い魔は、自分を覚えてくれているかも知れないという、とてもとても小さな期待を込め、少女の名を口にした。

「ありす」

「――え?」

ありすの、名前を呼んだのは、ありすの前の席の机に、寄っ掛かる楓だった。

回りを見渡せば、教室は、ガラ空きで、夕日が出ていた。

どうやら、ありすは、授業中に居眠りをしてしまっていたらしい。

って事は、今のは夢?

ありすが首をかしげるのと同時に、楓が溜め息をついた。

「ありすがとても気持ちよさそうに寝てたから、先生も起こす気が無くなったんだな…。
だからって、俺に面倒事押し付けるのはどうかと思うが」

「面倒事?」

ありすが目を細めたのを見て、怒鳴り始めるな。と悟った楓は「それと」と言葉を付け足した。

「優一さんがありすを心配してたぞ?優一さんも自分の授業までサボるとは考えもしなかったみたいだ」

【優一】は、ありすの兄だ。

長い茶髪を一つに結んでいて、眼鏡をしている。

教師よりか、先生と呼ぶ方がしっくりくる、やんわりとした雰囲気の国語教師だが、ありすの事が46時中心配で仕方なかったので、この職業についたという、かなりのシスコン。

「もう…お兄ちゃんったら」

ありすは、困る様な照れた様な顔を浮かべた。

「いいんじゃねーか?そういう人、俺は嫌いじゃない」

そう言って空を仰いだ楓の横顔が、教室の窓から差す夕日を浴びていた。

そんな楓が、とても綺麗に見えて、ありすは目が離せなくなってしまった。

楓は、ありすが自分を見ているのに気付いたのか、少し顔を赤くしながら、ありすに顔を向けた。

「…そろそろ帰るか。6時になると、教室に鍵をかけられて、閉じ込められちまうからな」

「う、うん」

二人共、ぎこちなさを感じながら、教室の扉に手をのばした。

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